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封神演義……所謂、殷周革命を取り扱った本が幾つもあります。
その中で、私が酷くショックを受けたのが、横山光輝氏の殷周伝説の一節。

文王が呂尚……太公望に教えを請うエピソードにおいて、素晴らしい言葉を伝えております。

天下の利を分かち合えば、天下はまとまり、天下の利を独り占めすれば天下を失う
だからこそ、権力を握ったからといって全ての富を独り占めできると思えば大間違いである

そして、どうやって天下の利を分かち合うか?
仁義道徳を行うべきだ。

とは即ち、天下を治める時、財を独り占めするのではなく、才ある人間にも分け与えること。
つまり、信賞必罰の信賞の部分を説いております。

とは即ち、喜怒哀楽は如何なる人間にも同じである以上、人によって分け隔てを設けてはならない。
つまり、身分・民族などによる差別の撤廃を説いていると言えるでしょう。

とは即ち、人は死を哀しみ生を楽しむ。誰かを助ければ感謝の気持ちを返してくる。
つまり、命を大事にし、弱者を助けるようにせよ。そうすれば必ず自らが報われる。
早い話が情けは人の為ならず、巡り巡って己が為なりってアレを国家の道標とせよと説いているのです。

とは即ち、身を飾り財を誇るのではなく、人を助けることで自然と身に付いてくる。
つまり、外見を飾りつけても徳は身に付かない……人はついてこない
外面を飾り立てるよりも行動することによって君主の道を示せ……と説いているのです。

……勿論、我流にアレンジしておりますけれど、言っていることに間違いはないでしょう。

面倒くさいので、まとめますと。。。

有能な人材は大事にしましょう。働いた分だけ報われる社会にしましょう。
差別をなくしましょう。
情けは人の為ならずという教えを国民全員が当たり前のように実行できる社会を目指しましょう。
外面を取り繕うのではなく、自ら行動することを美徳としましょう。


そういう社会こそ正しい社会であると説いているのです。
しかも、三千年以上昔に。。。

……だと言うのに、中国の演劇では、この次のシーン。
文王が呂尚の乗った馬車を引くシーンで観衆が大喜びするとか。
つまり、権力者がただの爺さんを文字通り荷馬車の馬になって曳く。そのシーンで大喜びするそうです。

……見る場所が違いすぎる。

これほど大事な教えを太公望が完璧に説いているというのに、彼らはその価値に気付かず、権力者が老人にへりくだるシーンで大喜びするというのです。

本気で、彼らと話が通じるようになるには、まだ千年はかかるんじゃないかな?と思ってしまいます。
だって、同じものを見、同じものを聞いている筈の私と中国人で、学ぼうと思う場所がこんなにも違うのですよ?

はっきり言いまして、この呂尚の教えを実現するだけで、中国の社会問題はかなり改善されるでしょう。

中国共産党が中国を指導すべき立場であり、優秀な人間だと言うのなら……富を寡占するのではなく、実力のある者に対して訳隔てなく分配してこそ、社会は発展を遂げるでしょう。

漢民族だけを発展させるのではなく、全ての民族・全ての職業の者に対して要らぬ差別をせず、平等に報われる社会へと進んでこそ、中国は更なる発展を遂げるでしょう。

拝金主義ではなく、道という概念を国民全てに教えるべきです。
助けた者が損をする社会ではなく誰かを助ける行為こそ自らが救われるべき唯一の道だという教えを、国民全てで分かち合うべきなのです。
今みたいに、政府も身内も誰一人として助けてくれないからこそ、お金しか信じられない……そんな社会では国民は安心して嗜好品を買う気力すら湧きません。
つまり、道を説くことは、即ち……中国経済の更なる発展に繋がるのです。

中国共産党は徳を積むべきです。
権力や法、武力や財力で他者を押さえつけるのではなく弱者を救い国民に安心をもたらしてこそ、中国共産党に徳というものが身に付きます。つまり、国民が安心して中国共産党に政権を委ねる結果……その政治基盤は磐石のものになるのですから。。。

ああ、たったこの殷周伝説第六巻144ページに書いてある、たったの一ページ分の内容で中国共産党にこれだけの説教が出来てしまいました。
それほど、この太公望の教えは素晴らしいものなのです。
それほど、中国古典から続く知識は素晴らしいものなのです。。。

何故、それだけ素晴らしい教えがあるにも関わらず、これほど稚拙な政治を行い、富の寡占に喜ぶばかりで本来あるべき政治を全うしようとしないのでしょう??


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